高配当と好配当の違い〜好配当は将来の高配当を確約できないため

最近、好配当型の投資信託が売れているそうだ。2005年だけでも新たに30本以上の高配当株投信が設定され、10月末までに1兆2974億円にまで急増したという。ところで、この「好配当」とは何だろうか?「高配当」とどう違うのだろうか?
野村アセットマネジメント株式会社の「世界好配当株投信」の運用担当者によると、「好配当」という意味は、過去の配当が高いだけでなく、今後の配当が好ましいと予測できる銘柄に投資することだそうだ(モーニングスター)。

投信を提供する側としては、過去の「高配当」を基準にしても意味がないし、将来の「高配当」は法律上確約できないので、「好配当」という名前なのだろう。投資の本質と法律上の制約をうまくすり抜け、「こうはいとう」という発音が醸し出す好印象を兼ね備えている。販売者にとっては絶妙なネーミングだ。

例えば、「このファンドは、こうはいとうが受け取れるのですか?」と証券会社や銀行の窓口に聞いたときに、果たして窓口の人はどう答えるのだろうか?上記のことをきちんと説明するのだろうか?もし、試した人or証券会社で窓口で働いている人がいればぜひ教えてほしい。

さて、本題に入ろう。果たして配当が高いことは個人投資家にとってよいことなのだろうか?詳しくは本ブログ記事「株式投資の基本」で書いたが、基本は高配当(好配当)ではなく、高利益である。つまり、企業はその年度にあげた利益の中から再投資を行い、残った部分を配当するので、例え配当が低くても、利益が高く、その利益を将来の利益のために効率よく再投資できれば、結果的に株主資本は増大することになる。

したがって「高配当(好配当)=高利益」とは必ずしも言えない。利益と配当を単純化してまとめると、以下のようになる。なお、投信の場合も同様である。

図:利益と配当の関係性

    | 高配当  | 低配当  |

高利益 | 低成長型 | 高成長型 |
    | 優良企業 | 優良企業 |

低利益 | 無謀な  | 負け犬  |
    | 企業   |      |

最後に税金について考えてみよう。株式の配当収益は10%の源泉分離課税となり、場合によっては損益通算のできる株式譲渡益よりも税制上損になることが多い(本ブログ記事「資産運用に関わる税金の基本」を参照)。投資信託の場合も同様だが、特に毎月分配型の場合は、毎月配当から課税されるので、配当金をすべて再投資した場合でも、年一回配当型の投信よりも利益は低くなる(本ブログ記事:投資家の無知を前提に販売する投信「毎月分配型・バランス型・ファンド・オブ・ファンズ」を参照)。

これらを総合的に考えると、長期投資を行う個人投資家にとっては、一般的に高利益・低配当(低分配)のほうが望ましいのである。

関連記事:
・ジェレミー・シーゲル「株式投資の未来」(その1)

コメント
初めまして。
投資家にたっての情報は非常に参考になります。

当方も、高配当の株より、低配当、無配で設備投資をする
株の方が、望ましいとずっと考えておりました。

「株式投資の未来」という本を読むまでは。
著者の、シーゲル氏はウォーレン・バフェットも
信頼を寄せる米ペンシルベニア大学の教授で、
アメリカでのITバブルも予言していた方です。

この本では、50年間、高配当の株の方が、アメリカでは、
市場リターンは平均を上回ると言う結果でした。
代表的な銘柄は、フィリップモリスなどです。
但し、配当金を再度、株に再投資するという前提ですが。
配当金を再投資した場合、下落相場のプロテクターになり、
バブルが崩壊しても、保有株数が増えるから逆に有利に働くそうです。
高配当の株は、投資家が収益の見通しに悲観的になっている
ので、結果的に株価が適正価格より下回るので、結果的に、リターンが平均を上回るとのことです。

当方としては、目から鱗でしたが、確かに投資家が楽観的
になっている新興市場は、PERが100を超えるような株は
割高傾向にあり、いずれほぼ暴落するので、長期ホールド
には向かないと言うのには、投資家の心理が現れ、改めて
株は心理学のようなものだと、納得がいきました。

だからといって、それが日本に当てはまるかというのは、
わかりませんが、本当の意味での長期ホールドする株を
選ぶ、参考にはなりました。

最近の好配当投信がよいかとは、思いませんし、
そのような戦略で練られているより、グローバルソブリンのように、毎月分配を謳って投資家を悪い言い方ですが、
陥れようとする商品だという認識は一緒です。

長文失礼いたしました。
  • machgogo
  • 2005/12/24 9:56 AM
コメントする




   

コメント欄の更新状況をRSSで通知する
この記事のトラックバックURL
トラックバック

サイト内検索

新着記事の通知

トピックス

最近のコメント

  • 築年数と賃料・家賃の関係性〜家賃下落率は築10年で1割・築20年で2割
    たろう (06/06)
  • 投信ブロガーが選ぶFOY2018でeMAXIS Slim先進国株式に全力投球
    ハイマージェ (11/17)
  • ダイヤモンド誌がバルチックカレー中国FC投資を批判
    結局 (11/13)
  • 楽天証券で楽天ポイント・楽天証券ポイントからの投信積立注文がスタート
    ゆうき (09/30)
  • 楽天証券で楽天ポイント・楽天証券ポイントからの投信積立注文がスタート
    たわら男爵 (09/30)
  • キングスレーキャピタルは投資詐欺か?被害者は?(2)
    鼠小僧 (09/26)
  • インデックス投資ナイト2018の第三部座談会に登壇した
    キセン (07/11)
  • 映画「ラストサムライ」にみるグローバリゼーション
    pandora jewelry (04/27)
  • つみたてNISA口座の買い付け設定を実施〜信託報酬0.1095%のあのファンドへ
    ハイマージェ (04/23)
  • 日本の現金決済比率は65%で先進国平均の2倍以上〜20万台のATM維持コストは年間2兆円
    パオ (03/20)