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投資税制の基本(更新停止中のため税制改正に対応していません)

日本の投資税制度は「投資家の損益に関係なく、集められるところから集める」という思想に基づいて設計されている。新しい資産運用商品が出されるたびに付け焼刃的な対応が行われるため、制度としての一貫性に欠けている。この複雑怪奇な投資税制の世界をほんの少し覗いてみよう。
1. 投資税制の基本

  • 日本の所得課税には、総合課税、申告分離課税、源泉分離課税の大きく分けて3つの枠組みがある。
  • 総合課税には、給与所得、事業所得、不動産所得、一時所得、譲渡所得、雑所得などが含まれる。税率は累進性で、各種控除がある。また、事業者には必要経費との通算ができる。年に一度の確定申告で合算し納税。
  • 申告分離課税には、株式譲渡所得(源泉徴収口座での取引を除く)、土地・建物譲渡所得、商品先物取引、山林所得、退職所得などが含まれる。年に一度の確定申告で合算し納税。
  • 源泉分離課税には、利子所得、配当所得、金融類似商品などが含まれる。取引ごとに金融機関が計算し、投資家に払いだす前に差し引かれる。税率は基本的には20%(上場株式・一部投信の配当を除く)。
  • 給与所得で年末調整を受けた人で、給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下である人は確定申告が不要(一定の条件を除く)。

2. 損益通算と損失の繰越

  • 利益と損失を合計して、それを元に税金をかけることを損益通算という。
  • 利益と損失を過去にさかのぼって通算することを損失の繰越という。
  • ただし個人には、損益通算・損失の繰越ができる範囲が限定されている。
  • このような税制の結果、個人が投資を行う場合、投資で損をしても税金を取られることがあるので、注意が必要だ。以下、具体的に見ていこう。

3. 預金における税制

  • 円建て預金の場合、利子所得に20%の源泉分離課税が行われる。
  • 外貨預金の場合、利子所得に20%の源泉分離課税が行われ、為替差益は、雑所得として総合課税になる。したがって、為替差損で大幅にマイナスになった場合でも、利子所得にはしっかりと税金が取られることになる。

4. 株式投資における税制

  • 株式投資における税制には、大きく分けて配当所得と株式譲渡所得がある。
  • 上場株式の配当には、限定的に10%の源泉徴収が行われている。通常は20%。
  • 上場株式の株式譲渡所得は、限定的に10%、通常は20%の申告分離課税。年に一回の確定申告時に通算して、申告することになる。国内ETFやREITも同様。譲渡による損失が発生した翌年から三年間の損失繰越が可能。
  • 株式の取引においては、特定口座を選択することができる。特定口座には、簡易申告口座と源泉徴収口座の2種類があり、簡易申告口座の場合には、特定口座年間取引報告書により簡易な申告をすることが可能。源泉徴収口座の場合には、源泉徴収され確定申告が不要となる。
  • 企業が配当を支払えば、株価はその分下がることになる。したがって、個人投資家にとって、利益を上げても配当を出さない企業のほうが税制上有利である。

5. 債券投資における税制

  • 債券には大きく分けて利付債と割引債がある(詳しくは債券投資の基本を参照)。
  • 日本で発行される円建ての利付債には、利子所得に20%の源泉分離課税が行われる。日本で発行される円建ての割引債の多くは、発行時に18%の源泉分離課税が行われる。
  • 外国で発行される利付債には、利子所得に20%の源泉分離課税が行われ、為替差益は、雑所得として総合課税になる。外国で発行される割引債は、償還時に雑所得として総合課税が行われる。途中売却の場合は譲渡所得になり50万円を越える部分に総合課税が行われる。5年以上保有した場合は、50万円を越える部分の半額が総合課税の対象となる(詳しくはゼロクーポン債投資による節税法を参照)。

6. 投資信託における税制

国内籍投信の場合

  • 公募国内籍公社債投信の場合は、分配金収益に20%の源泉徴収がおこなわれる。
  • 公募国内籍株式投信の場合は、限定的に分配金、解約差益、償還差益に10%の源泉徴収が行われる(通常は20%)。追加型株式投信の場合は、投資家ごと、ファンドごとに購入価格が計算され、基準価格が購入価格を上回っている部分が課税対象となる。
  • 分配金には普通分配金と特別分配金がある。購入価格よりも基準価格が上回り、その範囲内で分配金が支払われる部分を普通分配金で課税対象となり、分配によって基準価格が購入価格以下になる場合、その部分はと特別分配金として課税対象とならない。
  • 公募国内籍株式投信を中途売却する場合、解約請求と買い取り請求を選ぶことができる。解約請求の場合、利益は配当所得として源泉徴収されるが、損失は譲渡所得になる。買い取り請求の場合は利益も損失も譲渡所得になる。譲渡所得の部分は、株式譲渡益等との損益通算が可能。

外国籍投信の場合

  • 公募外国籍株式投信の場合は、限定的に分配金、償還差益に10%の源泉徴収が行われている(通常は20%)。売却益は株式の譲渡所得と同じ扱いになり、10%の申告分離課税となる(通常は20%)。
  • 公募外国籍公社債投信は、分配金に20%の源泉課税が行われるが、売却時は非課税となる。分配金を出さない外国籍契約型投資信託は有利(詳しくは外貨MMFよりも税制上有利なボンドセレクトトラストとシティカレンシーを参照)。

会社型投信の場合

  • 会社型上場投資信託(ETFやREITなど)は、上場株式と同様。会社型非上場投資信託は非上場株式と同様である。国内証券会社で購入する海外ETFにかかる税金については、海外ETFの税金を参照。

税制についてより詳しい内容は、国税庁「タックスアンサー」参照。また、投資税制については安間伸著「ホントは教えたくない資産運用のカラクリ・投資と税金編」に分かりやすく掲載されている。

上記の税制度には詳細な条件が規定されていますので、詳しくは税務署や税理士にご相談ください。なお、税理士法に抵触する恐れがあるため、個別ケースの税務相談は受けかねます。

関連記事:
・資産運用ノウハウのまとめ

コメント
びっくりしました! すばやい対応に!
ありがとうございます。うれしいです。
11/10の日記に、税金について書いていますが、投資をおこなう上で税金の問題は避けて通れないですよね。私自身のとりかかりにしたいと思います。ほんとうにありがとうございました。
はじめまして。いつも楽しく読まさせていただいております。
ところで今回の税金の件について、6の投資信託ですが、私の記憶だと株式同様2008年までは10%だったと思うのですが。
また買取請求を活用すれば損益通算も可能であったと思います。

それと、外国籍株式投信もこの前の税制改正で課税対象になったと思います。
非課税なのは外国籍公社債投資信託ではないでしょうか?
私の勘違いでしたら申し訳ありません。m(__)m
  • captain
  • 2005/11/11 2:35 AM
captainさん。ご指摘ありがとうございます。古い本を参考に書いていたので、新税制をフォローしていませんでした。早速変更しました。
  • Yuki
  • 2005/11/11 9:32 AM
はじめまして。TBありがとうございました。
とても有益な情報満載のBlogですね。来週辺りから
株デビューする私も参考にさせて頂きます。
(特に税金関係のところを・・・)
また遊びに来ます〜。
投資をして得て利益にかかる税では、投資税とは言わん
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投資に関する税制について解説があります。
  • 「地に足のついた投資」を考え、実践する場
  • 2005/11/10 10:35 AM
投資をして気になるのが税金。 定期預金などでしたら税を引かれて利息が払われますの...
  • 資産運用について考える
  • 2005/11/10 9:59 PM

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