日経電子版に「投資デビュー100万円ためてからに理はない」と題する記事が掲載された。
FPの山崎俊輔氏による記事で、「まとまったお金をためてから投資デビューという固定観念を取り去りましょう」「投資デビューは100万円ためてではなく、できるだけ少額でが鉄則」と提唱している。
個別株に比べれば国際分散投資のリスクは低くなるが、再びリーマンショックのような暴落が起これば、短期的に資産が30%〜40%減になる可能性がある。そのような事態に陥った時に失業や大きな病気をしても生活を維持できるようにするためには一定の生活防衛資金が必要だ。
とはいえ、生活防衛資金の目安については、生活費の3か月分を推奨する人もいれば、2年分を推奨する人もおり、大きな開きが生じている。そこで、いくつかの具体的なケースを想定して、生活防衛資金の目安について考えてみたい。
まず、収入リスクについて、自己都合退職の場合、雇用保険給付金の振込は4か月後になるので、その間の生活費は自前で確保する必要がある。また給付水準も直近6か月の給与の50%〜80%なので、生活水準を給付水準に抑えることができない場合はこの差額を埋める蓄えが必要になる(ハローワークインターネットサービス)。
生活水準を下げるためには固定費の見直しが必要だが、固定費で最大の支出となる家賃を見直すためには引っ越しコストが必要になる。例えば、敷金(+礼金)で家賃の2〜3か月分、不動産手数料で1か月分、引越代で1か月分、家賃の新旧重複期間が最大1か月分となり、家賃の6か月分程度が必要になる。
さらに、大きな出費のリスクとしては病気やけがのリスクがある。入院時の自己負担費用の平均は22.7万円。90%の確率で50万円未満となり、96.5%の確率で100万円未満となっている(生命保険文化センター)。
このような具体的ケースを考えると、生活防衛資金は最低でも生活費の6か月分を用意しておくのが無難ではないかと思う。1か月の生活費を15万円とすると90万円、20万円とすると120万円で、日経の記事に出てきた100万円という目安は、それほどかけ離れていない。
ただ、資産額が増えてくれば生活防衛資金のすべてを預金にしておく必要性はないだろう。仮に運用の最大損失をマイナス50%とすると、生活費の9か月分の資産を持っていれば、生活防衛資金として3か月分を預金に、生活費の6か月分で運用することも可能だろう。
小額からの投資が可能になったものの、投資デビューにあたっては、まずは生活費6か月分の生活防衛資金を貯めるのが先だろう。
- 2017.09.11 Monday
- カテゴリ:資産運用全般
- comments(2)
お金のプロの方と一から資産作りを始める人では、そもそも知識、経験、意識の開きがありますので
理がない、と言われましても感情が着いていかないというか…迷ってしまうかと…。
経験上(投資なんて普通の人の頭になかった昔ですけど)50万、100万と区切りに達すると精神的に安心したものです。なんとか生きていけそうと。
でも預金金利がそこそこ良かった時代なので、現代に100万となると時間面で機会損失かもしれません。
併用してリスク資産は数千円から、でもいいかな。
または、集中してとにかくまとまった金額を貯めてしまってから、でもいいかなと思います。
要は何か行動する事ですかね。
ところで、別記事の「つみたてNISAとiDeCo併用プラン」プレゼンですが、ご感想を拝見しますとちょっと残念ですよね。
私だったら(特に若い頃の)疎外感を感じたかもしれません。
まあ、自分にできる範囲で取り組むだけです。