投信の目論見書、運用報告書・レポートはどうあるべきか?

投資信託には、投資家に分かりやすく商品を説明する販売資料の他に、法的に作成が義務付けられている目論見書、運用報告書や、運用状況を定期的に知ることの出来る月次・週次レポートがある。しかし、目論見書や運用報告書の公開状況は販売会社によって大きく異なり、月次・週次レポートの書き方も運用会社によって異なっている。今回は、個人投資家にとって望ましい資料・レポートのあり方について考えてみたい。
まず、私がこれまでいろいろな資料・レポートも見た中で、問題だと思う点をあげてみたい。

1. 販売会社のウェブサイト上で信託報酬の割合が公開されていない(信託報酬をウェブに掲載しない三菱UFJ証券を参照)(追記:その後、掲載された)。

2. 運用会社のウェブサイトに行けば目論見書が読めるのに、販売会社のウェブサイト上で目論見書を公開していない。

例えば、新光証券では、グループ会社の新光投信の取り扱いファンドが多いが、わざわざ新光投信のウェブサイトに行かないと、目論見書やレポートが読めない。三菱UFJ証券も同様だが、ウェブサイトの使い勝手が非常に悪い。

3. ベンチマークが指定されておらず、運用の良し悪しが比較できない。

ベンチマークが指定されていない(これは特に債券型やバランス方で多く見られる)。したがって、運用報告書や月次・週次レポートを見ても、他の同様のファンドに比べてどれくらい運用がうまく行っているのかがわからない。例えば、国内資産規模第三位のダイワ・グローバル債券ファンドは、そもそもベンチマークが指定されていない。

4. 週刊・月間レポート上で組入れ銘柄やセクター分布が公表されておらず、おおまかにどのような企業、セクターにどれくらいの割合が投資されているかが分からない。

例えば、日興・財産3分法ファンドの月次レポートでは、各アセットの上位組入れ銘柄は掲載されているが、セクターや国別の分布は分からない。逆に野村・マイストーリー分配型では、アセットタイプ別の資産は分かるものの、国別、セクター別などの分布は分からない。

マイストーリーの場合は組入れファンド数が多すぎて、このような指標を出すことに相当の手間とコストがかかってしまうだろう。しかし、そもそも、セクター分布さえもわからなくなるほど多くのファンドに分散させることに意味があるのだろうか?という疑問がわいてくる。

* * *

このように、目論見書、運用報告書、月次・週次レポートのあり方や、その公開方法には多くの課題が多い。こうした課題は、ぜひ改善していただきたいと思う。

関連記事:
・投資信託の基本

コメント
1,2について、
おおむねネット証券には信託報酬などデータや目論見書、各種レポートが公開されている事が多く、逆に対面販売を主にしてきた証券会社には非公開にしている所が多く感じられるのですが、どうでしょうか?

恐らく、ネット証券では情報を公表する事により取扱商品の魅力を通して顧客の獲得を狙っているのに対して、対面販売証券会社では、わざと情報を非公開にした上、資料請求などによって潜在的な顧客の把握を狙っているのではないかと推測しています。


3,4について、
ミューチュアルファンドというのはインデックスとの相対収益で良し悪しをとらえるのが一般的と思えるのですが、以前の記事での事でグロソブを擁護する人の中には「年率○%の利益が出ているのだからイイんじゃないか。。。」といった絶対収益としてとらえていると思える発言が何回か見られたのが印象的でした。
もしかすると、これもまた推測の域を出ないのですが、もしや信託報酬が高いものやパフォーマンスが悪いファンドに於いてはインデックスと比較させず、恣意的にと絶対収益で見て判断させようとしているのでは?。。。と疑ってみたりしています。
  • StoneFish
  • 2006/12/17 4:14 PM
そもそも、高い信託報酬の対価として考えると、目論見書、運用報告書、月次・週次レポートは、掲載内容自体のサービスが悪すぎると感じています。

さらに、それを隠すようなWEBの使い勝手の悪さは、もう論外だと思います。
StoneFishさん

>対面販売を主にしてきた証券会社には非公開にしている所が多く感じられる

不親切だとは思いますが、べつに不思議なことではないでしょう。
対面販売の場合は主に店舗が販売窓口です。客先に訪問して説明する場合もありますね。
そういうときはパンフレットなどの詳しい資料を出してくるはずです。

それに対してネット販売ではWebこそが販売窓口であり販売資料を提示する場所なので、詳しく説明されているわけです。

つまり「Web上では公開されていない」というだけで「非公開にしている」わけではありません。
最近はたいていの情報がネットで入手できるため、この2つを同一視する人は少なくないでしょうけど。


話はそれますが、楽天証券は投信のネット販売窓口としてはかなり出来が悪いです。
口座開設してログインしないと目論見書の閲覧どころか販売手数料すら知ることができません。
以前はファンドの内容を説明した文章と販売手数料を見ることができたのですが、今ではモーニングスターのデータを引用しているだけ。
http://www.rakuten-sec.co.jp/ITS/V_DBK_EquityHouse_01_b.html
運用方針の説明もないというのは特にアクティブファンドにとっては致命的な情報不足です。
そりゃ、売り上げの大半が株取引などによるものなので収入源としてはウェイトが小さいのはわかるけど、これはちょっとひどすぎますよ。
  • アルビレオ
  • 2006/12/17 9:03 PM
>アルビレオさん

>「Web上では公開されていない」というだけで「非公開にしている」わけではありません。

もちろん、そんなことは言われるまでもない事でしょうし、各種資料を顧客に公表しないという意味で「非公開」と言っているのではありません。

あくまで本文記事に対するコメントで「販売会社のウェブ上に資料が公開されていない事」に対してのコメントだったのですが、アルビレオさんに誤解を受ける言い方であったならばお詫びいたします。
  • StoneFish
  • 2006/12/17 11:14 PM
いえ、こちらこそ勇み足だったようですみません。
「Web上では〜」のくだりは特に書かなくてもいい内容なのに、くどい性格なもので (^ ^ )ゞ
  • アルビレオ
  • 2006/12/17 11:24 PM
初めましてUといいます。
投信(株式)会社の事務をやっています。

雑感を述べますと
〔槝生書や運用報告書については法令やルールの縛りがきつくてあまり個性的に作成しにくいようです(担当者によると)。
▲戰鵐船沺璽については運用会社が目標とするインデックス(指標)がないOR縛られたくないのであれば、その旨明示して自分達の運用方針や目標を提示すれば良いと思います。
 特に債券の場合はインデックスの中身が毎月入れ替わるので機関投資家向けならともかく、個人投資家向けの投信がインデックス運用やベンチマーク設定する意義があるかは疑問です。
個人投資家の債券投信購入の真のニーズは
・預金(外貨含む)よりも利率の高い商品にアクセスしたい。
・債券は個人で投資すると購入ロットや中途解約に不便が生じるので利便性を高めて欲しい。
(もしも、長期で大きく増やしたいのなら、株式運用した方がスマートだと思います)
無理に顧客ニーズに合わない難しい運用するとコスト高ですから、割り切りも大事だと思います。
 但し、良い意味でも適当に運用してますだと顧客が買ってくれないかもしれませんが・・・・

まあ、あくまでも雑感です。


  • Uさん
  • 2006/12/18 10:59 AM
Uさん

,砲弔い董∋笋言いたかったのは法令で中身の構成がある程度決められている目論見書や運用報告書ではなく、月次・週次のレポートの書き方です。例えば、組入れ銘柄にしても、すべての銘柄を書いているレポートもあれば、主要30銘柄の場合もあるし、主要10銘柄しか載せていないもの、まったく載せていないものもあります。

空売りを仕掛けるロングショート戦略の場合は、このような銘柄表示はなかなか難しいと思いますが、そもそもロング運用でのファンドで、買った後の銘柄を公開することに、運用戦略上の問題はほとんどないと思いますが・・・

△砲弔い董▲戰鵐船沺璽を設定していないファンドが、独自の目標を設定しているかというと、設定していないんですよ。そもそも相対収益目標でもなく、絶対収益目標でもないファンドの目標ってあるんですかね?それとも、目標なんていらないってことですか?

例えば、外国債券のファンドについては、日本では中央三井アセットが、シティ国債インデックスをベンチマークとしたインデックスファンドを販売しており、この信託報酬は0.7%程度です。Uさんは、債券ファンドにはベンチマークは必要ないとおっしゃりますが、ファンドを買う側からしてみれば、例えばアクティブ運用で信託報酬が1.3%の外債ファンドがあるとしたら、このファンドがインデックスファンドよりも毎年平均0.6%以上の収益を上げないないとすれば、存在意味がないと私は思うわけです。
  • ゆうき
  • 2006/12/18 6:57 PM
>銘柄を公開することに、運用戦略上の問題はほとんどないと思いますが

ロングショートなど多彩な手法が増えたとはいえ、まだまだ株式投信ではある程度の期間を保有し続けるバイ&ホールドを基本とするのが主流です。
こういうファンドにとって保有銘柄と構成比率はそのファンドの商品性、差別化要因の中核なわけです。
それを公開すると、十分な資金さえあればまねをすることで信託報酬を払わずに同じような運用成果を得ることができてしまいます。
業界の仁義を無視すれば「○○ファンドの銘柄構成とほぼ一致させることで、同程度の運用成績を得られます。しかも信託報酬は半分以下!」というファンドだって作れますよ。

銘柄選択というアクティブ運用で運用会社にとって一番コストがかかっている部分をタダでばらまくというのは、
「うちの製品はすべて市販されている部品だけで作られています。設計図も公開してます。だから自分で部品を買ってきて組み立てた方がずっと安上がりだけど、いい商品なので買って下さい」
といってるようなもので、それでもわざわざ買う人がいたとしても商売のやり方としてはうまくないでしょう。

逆に短期間でどんどん売買を繰り返している場合は、単に「ある時点でそういう銘柄を保有していた」という過去のデータでしかないため、それはそれであまり意味のないものだという気がします。

あ、「ファンド保有者にだけ公開」というのも無意味ですよ。
データをもらう目的で10万円分だけファンドを保有して、そのデータを元に1000万円を直接運用することだってできちゃうので。
  • アルビレオ
  • 2006/12/19 2:08 AM
アルビレオさん

なるほど、少なくとも月次・週次レポートなどで全銘柄を公開できない理由がよくわかりました。

やはり、月次・週次レポートでは、上位構成銘柄とセクター分布の公開というのが妥当なラインなのでしょうか?

バランス型ファンドの中には、それすら公開していないところもありますね。
  • ゆうき
  • 2006/12/19 8:34 AM
 ̄人冓鷙霆颪領蛭櫃銘柄公開のことであればアルビレオさんが言った通りですね。銘柄選択が競争優位な運用会社は銘柄公開を極端にいやがります。そのタイプのヨーロッパの運用会社のスタッフと話した際に、彼らは出来れば全く銘柄公開したくない(真似されるから)って言ってましたからね。

△修發修皀戰鵐船沺璽の概念は投資が大衆化したここ最近の概念なんで、ベンチマークを設定するしないはあまり投信の良否には関係ない気がします。(設定している投信でもエエ加減なのはあるし、設定しないものでも優良なものはあります)おっしゃる通り比較するには解りやすい概念ですが
 運用業界の中では債券インデックスについては株式インデックスと違って有効性についてかなり運用者や機関投資家から批判があります。(「借金大魔王への追い貸し」理論)
 このあたりからは投資哲学とか趣味の領域なんで好き好きですが、個人的には自分は株式好きなんで自社の株式投信に集中して現金や債券はあくまでも待機資金って割り切ってます、だから預金・MMFしかやんないですね(これも趣味の問題ですが)
  • Uさん
  • 2006/12/19 5:21 PM
Uさん

ベンチマークについて

「ベンチマークを設定するしないはあまり投信の良否には関係ない」とおっしゃられていますが、Uさんにとって良いファンドとは何ですか?

Uさんのおっしゃられるように、ベンチマークを設定していなくても結果として騰落率が高いファンドはいくらでもあるでしょう。でも、ファンドは騰落率だけの問題ではないですよね。例えば今年一年でTOPIXを10%上回った国内大型株に投資するファンドが2つあるとしましょう。ひとつのファンドは、常にTOPIXを上回っているのですが、もうひとつのファンドは下げ相場では、TOPIXを下回る下げを記録していたとしましょう。もちろん前者のファンドの方が運用はうまいと言えます。

これはシャープレシオを見ればわかりますが、シャープレシオを見ただけでは、どのタイミングで下げがひどかったかなど具体的なことが分からないんですね。また、ファンドの基準価格だけを示されても、株価上昇が市場全体の上昇なのか、市場は下がっているけれども上昇しているのかどうか分からない。結局、ファンドがどれくらい運用がうまいかは、ベンチマークとの比較のグラフがないと判断できないですよ。

「比較するには解りやすい概念ですが」と認めていただいていますが、ファンドを比較しないで買ってはいけないと思います。

債券インデックスについて

ホリエモンのように実体が伴わないのに時価総額ばかり上げようとする経営者もいますから、おっしゃられる債券インデックスの性質は株式にもないとは言えないでしょう。ただ、問題はソブリン債のインデックスの場合は発行母体が、かなり限定されているということでしょうか?

ただ、そうは思うものの、多くの外債アクティブファンドが、その有効性に疑問符の付く債券のインデックスに負けているという事実は納得がいかないですね。多くの外債アクティブファンドが信託報酬の差を含めて債券のインデックスを上回っているというなら、債券のインデックスの有効性を問題視してもよいと思いますが、そうでない以上、インデックスを買ったほうが有利ということになってしまいますよね。
  • ゆうき
  • 2006/12/19 11:57 PM
私にとっての良い投信というのは、明確な投資哲学や運用スタイルがあり、実際の運用がブレない投信です、その上でパフォーマンスが良ければ言うことなしって所ですね。なぜかと言うと運用者や機関投資家の間で言われている世界トップクラスの運用会社の中で明確な投資哲学や運用スタイルのない会社がないからです。(逆は真ではありませんが)
インデックス・バリュー・グロースなど運用スタイルはそれぞれで好みの問題だと思うのですが、それぞれに哲学があってそれは運用者・会社の性格やスタイルにも表れます。(例えばバリュー派はケチで古いもの好き、グロース派は新しい技術や商品好き、インデックス派は科学・統計信奉とか)それなのにバリューとグロースを運用する人が一緒とか、個別企業調査が売りなのにインデックスやるとか、どんなスタイルの運用でも無節操に行っている運用会社っていうのはパフォーマンス以前に一流の条件にも満たない気がするのです。
 ベンチマークやシャープレシオ・ベータなどは運用を科学的に分析するには良いツールですが、運用の全てのスタイルや事象をカバーするには力不足なんだと思います。(企業分析におけるPER・ROE等に絶対がないのと似ています)今般では本末転倒ですが運用側が指標をお化粧するために運用がブレているのが散見されます。
 本当はFPが顧客に合った運用ニーズや投資スタイルの相談に乗り、投信の評価会社が指標だけでなくて運用スタイルに踏み込んだ投信の評価や情報提供を行い、運用会社はそれぞれの運用スタイルを磨いてパフォーマンスを競うのが理想形なんですが、まだ現実は理想には程遠いですよね。
 長々とスイマセン
 最後に外債インデックスについてですが(私はインデックス派ではないので差引いて聞いて下さい)、運用者に言わせると外債インデックスをベンチマークにするとパッシブでも運用は難しいそうです。(毎月末に銘柄入れ替えが行われ、保有債券の流動性に難があり、保有債券がどんどん償還していく、為替調整などの理由)ですから外債運用でベンチマーク重視の投資をされる場合はパッシブ投信で低コスト・低乖離率なものを選ばれるのが良いと思います。(為替も金利も当てにいく超アクティブ狙いって手もありますが、自分の知る限り日本で凄い人を見たり聞いたりしたことがありません)
  • Uさん
  • 2006/12/20 5:50 PM
で、結局、ベンチマークを設定していないファンドで良いファンドというのがイメージできませんでした。具体的なファンド名をあげていただければありがたいです。よろしくお願いします。
  • ゆうき
  • 2006/12/21 12:40 AM
よいかどうかはわかりませんが、さわかみファンドはベンチマークを設定していません。
ここは「相場が弱気になったときに集中して購入」という方針なので、一時は純資産の30%以上をキャッシュで持っていました。
一時的とはいえこれだけ「非株式資産」が多いと、株式ベンチマークとの相関は小さくなるので意味は薄れるかも。

他社との競争は意識せず「バイ&ホールドによる長期的な絶対収益追求型戦略」ということになりますかね。
  • アルビレオ
  • 2006/12/21 2:13 AM
しかし、結果的には、TOPIXと比較してもそんなに差は出ていませんね。

http://quote.yahoo.co.jp/q?d=c&c=&k=c3&t=1y&s=71311998&l=on&a=&p=&z=m&q=l&y=on

とすると、例え、ファンド自体がベンチマークを設定していなくても、個人投資家は、そのファンドを買う前に、こうした比較をする必要があるでしょう。
  • ゆうき
  • 2006/12/21 8:53 AM
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