ファンドラップは割高なバランス型投信か?

野村證券は、複数の投資信託の組み合わせで顧客から預かった資産を一任運用する「ファンドラップ」と呼ばれる新型の富裕層向け資産運用サービスを10月10日から提供すると発表した。
また、日興コーディアル証券は、顧客が希望する利回りやリスク許容度などを伝えれば、株式や債券といった投資割合を指定しなくても、すべて一任で運用する国内初の「完全一任型ラップ口座」の提供を今月下旬から始めると発表した。

野村證券のラップ口座は、もともと最低運用金額が3億円とかなりの富裕層向けだった。しかし、団塊世代の大量退職を前に、退職金でも運用しやすいラップ口座「ファンドラップ」を開発したようだ。「ノムラで一任口座を持っている」というちょっとセレブな気分を味わいたい」団塊世代のオヤジ心をくすぐる商品だ。

日興コーディアル証券のラップ口座は、もともと1000万円から受け付けていたが、資産配分から設定するタイプ。今回、資産配分ではなく利回りとリスク許容度から選択できるサービスを国内初でスタートするというが、果たしてうまくいくのだろうか?

というのは、そもそも株価や債券価格の先行きが見通せるのであれば、誰も苦労はしない。リスク許容度を設定されているのだとしたら、アセットアロケーションの割合も、そう大きく動かせるはずがない(詳しくはアセットアロケーションの基本参照)。記事には「相場変動に応じた柔軟な投資先や資金配分の見直しも、運用担当者に完全に一任する」と書いてあるが、どう考えても、運用担当者が自由にアセットアロケーションを変えられる割合は小さくならざる得ない。

そもそも、株式と債券の値動きも説明しないで、一任勘定を持たせることが、本当に顧客のためになるのだろうか?予定された利回りを上げられなかったときに、顧客はなぜ下がったのかが理解できないだろうに。「そんなんで本当にラップ口座持たせていいの?日興さん?」という素朴な疑問がわいてくる。

両サービスとも具体的な手数料はまだウェブ上には公表されていない。しかし、本ブログ記事「セパレートリー・マネージド・アカウント(SMA)〜手数料の割高なバランス型ファンド?」にも書いたとおり、運用コストを考えれば、こういった1000万円からの「団塊・中流向けラップ口座」は、「手数料の高いバランス型ファンド」にならざる得ないだろう。

関連記事:
・ファンドラップという名の幻想

コメント
TBありがとうございました。
投資信託が個人投資家の間に広く、深く浸透するためにはラップ口座をふくめたいろいろなツールが必要でしょうけれど、ご指摘のように簡単なものじゃないですよね。“甘言”で釣るようなことのないように願いたいものです。
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 雑誌、マネージャパン(2006年7月号)を眺めています。  今号では、ラップ口座&SMA口座についての特集がなされています。  手数料水準を考慮しますと、さほど有利な運用方法だとは思わないのですが、「運用を任せたい」というニーズもあるでしょうから、こうい
  • たけくらべ
  • 2006/10/03 11:44 PM

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